「ここではないどこか」を探し続ける不毛
最近心に残った一冊をご紹介。
稲垣えみ子さんの「家事か地獄か」
本屋で見かけて即買いでした。
稲垣さんの本は全部読んでますが、今回のは特に良かったです。
稲垣さんと言えば、大手企業を退職され
このアフロヘアでおなじみで、電気を全く使わない生活など
いろいろと話題が豊富な方ですね。
現在は、都内の1ルームマンションで
一汁一菜の食生活を楽しんでおられるようです。
洗濯機、冷蔵庫、炊飯器などを持たず
厳選したモノでシンプルな暮らし。
ミニマリストの究極というべき暮らしぶりですが
これが何とも幸せそうなんです。
タイトルは、「家事か地獄か」
どういうこと?とインパクトは強いですが
要は、シンプルな暮らしを実践すると
家事そのものが楽しくて、「生きてる」って実感が生まれ
「ただ生きているだけ」に満足できる
という内容が書かれています。
「ここで良いのだ。自分は自分で良いのだ。
自分はすでに全てを手に入れているのだ。」
という感覚になると。
結局、多くの人が求める幸せとは、これに尽きるのではないかと
思うわけです。
又、我々の今後の悩みである認知症についても触れています。
アメリカのスノウドン博士の脳と老化の関りについての研究です。
600人以上の修道女を対象とした研究・調査なのですが
修道女には100歳を超えても頭が冴えわたっている人が多くいらっしゃるとか。
ところが、亡くなった後で解剖すると
アルツハイマーの病変がはっきりあるのに
認知症を発症していないケースが散見されるそうです。
これはどういうことなのか、まだはっきりとしたことはわからないらしいのですが
認知症の問題に取り組み続けている愛媛県の職員、近藤氏によると
「集団の中で、自分にできることをしっかりと行いながら、環境の変化の少ない暮らしを長年続けていると
認知症になっても生活に支障をきたさない」のではないか・・とおっしゃっているとか。
これはちょっとある意味衝撃的なことでした。
脳のためには、刺激があった方がいいのかと思っておりましたね~
環境の変化の少ない暮らしって、ぼけが進むのではないかと危惧しておりました。
稲垣さんもご家族が認知症になられ、だんだん何もできなくなっていく様子を
書かれています。それは、現代の生活があまりに複雑化していて
それに対応できなくなる高齢者が多いのではないかということで・・
これは本当にそうかもですよね。
50代の私も、最近は時代からの取り残され感が半端なく
スマホも便利なのかなんなのかよくわからなくなってきてしまい
ほんと、このままいけば認知症って怖いなぁと恐れるばかりになっていました。
でも、自分の身の丈に合った淡々とした暮らしを続けて行き
その中で日々の小さな幸せをかみしめて過ごせば
そんなに恐れることもないのかも・・と思える内容でした。
友人の母も、80になったばかりですが
もう電話もかけられない、ご飯も炊けない、機械ものは一切使えない
という状態らしいです。
ややこしい機会は使わず、シンプルにできることを淡々と・・
これだけでも実践するといいのかもしれないですね。
「自分で自分のめんどうをみることができる」
その範囲で生きていけばいい
そのための、家事。
ということで~
要は、「身の丈に合った暮らし」ということですが
完全に別の角度からの言語化で
なるほど・・と妙に納得できたのでした。
老後に不安を抱く人には一読をお勧めします。