過去と未来とナラティブセラピーと

太陽フレアの影響で、普段は見ることのできない地域でオーロラが見えると
ニュースで知った。

宇宙や自然の現象の前で、私たちは右往左往するしかないのだな
という感想をもった。

西洋占星術は、実際の宇宙の惑星を使う学問だ。
私たちは、宇宙からの影響の中でじたばたしながら日々を生きているに過ぎない。

私は毎日毎日、本を読んで過ごしているが
時間とか人生について書かれた本の中に、共通して現れることがある。

例えば・・

「限りある時間の使い方」オリバー・バークマン著
バックミラーの中で徐々に形作られていく人生

「ふたつの時間、ふたつの人生」柚月裕子著の中で紹介されるフランスの詩人ポール・ヴァレリーの言葉。
湖に浮かべたボートを漕ぐように、人は後ろ向きに未来に入っていく。
目に映るものは過去の風景ばかり。明日の景色は誰も知らない。

のような。
未来は見えず、知ることができず、
私たちにあるのは、今と過去だけ。

占星学を学ぶ動機の一つに、未来を良くしたいというものがあったことが
日に日に色あせていく思いだ。

未来に視点を置くことは禁断の領域に踏み入ることなのか。
良書に散見するこれらの恐らく真実からすると
未来をどうこうしようではなく、今の決断を信じて進み、踏み固められた過去を
見ながら生きていく、というのが人生のようである。

となると、途端に気になるのが「過去」である。
たった今も「過去」は量産され続ける。
常に、過去はバックミラーに映るのだ。

しかし、どう映るのか、を判断するのは自分自身で
何分か前に書いたこの文章も、「くだらない」と感じることもできるし
大切にしたいと思うこともできる。

未来を良くする方法は、過去を良いものと判断することから始まるのかもしれない。

以前から、「ナラティブセラピー」というものに興味があった。
書籍を読んで理解を深めようとしてきたが、
今春、遂に講義を聴講することにした。
約10か月ほどの期間、毎月1回の勉強会を聴講している。

ナラティブセラピーとは、一つのカウンセリング技法。
従来の臨床心理学の流れとは全く異なる考え方を背景に持つ、新しいカウンセリング技法とされる。

ナラティブは、「語り」のこと。
人が悩みについて「語る」時、当然のことながらその人の価値観や行動指針によってストーリーを
語ることになる。
この価値観や行動指針そのものが、悩みの原因になっていることも多く
セラピーでは、相談者がその苦しみの原因に自ら気が付くようなカウンセリングを行っていくというもの。
主に、質問によりカウンセリングは前に進んでいく。

実際は、そんなに簡単には価値観が変わることはないし
他のカウンセリング手法と同様、時間をかけて取り組むことには変わりはない。
ただ、カウンセリングの過程で「人生の再著述」ということができてしまうと

過去が書き換わるために、今の決断に大きな影響が出る可能性もある。
今が変われば、未来が変わるのだ。

バックミラーに映る過去を再著述→人生のとらえ方が変わる→今が変化→未来への影響

なかなかに興味深い。
腰を据えて学んでみたいと思っている。

私の好きな岸政彦さんが、ナラティブセラピーに懐疑的なことを書いていたのも
とても気になる。
そのあたりをクリアにしたいというのも、一つの目的。